2024.10.08

2024年度秋季入学式 学長式辞

2024年度秋季入学式が総研大葉山キャンパスで行われました。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 総合研究大学院大学SOKENDAIに入学された皆さん,入学おめでとうございます。本学の教職員を代表して,皆さんの入学を心から歓迎します。

 皆さんが入学されたSOKENDAIは,卓越した国立研究機関で次世代を担う博士人材を育てるために,国内初の国立大学院大学として1988年に設立されました。これまでに,文学・理学・工学・情報学などの様々な学術分野に2,500余名の博士人材を送り出しています。皆さんも,これから全国に点在する20の研究機関に入って,博士号の取得を目指されるのですが,今は期待と不安が入り混じった気持ちでおられると思います。

 そんな皆さんに,どのような大学院生活を送って欲しいと思っているかをお伝えしたいと思います。ひと言で表すとすれば,

大いに道に迷え!(Be not afraid of getting lost!)

 大学院課程の最終ゴールは,勿論,博士の学位を取得することです。そのゴールに到達するために皆さんに求められるのは,自らの選んだ専門分野の知識や研究手法を修得し,課題を見出してそれを解決する力を身につけることです。世の中では,得てして,学位論文の学術的な価値を以って学位が授与されると思われがちですが,そうではありません。学位を取得するには,自立して研究を行っていけるだけの博士人材としての力量が問われるのです。

 皆さんが自らの力量をどれだけ高めることができるかは,大学院時代にどんな経験を積んだかに大きく依存する,と私は考えています。学位論文研究を進めるうえで,初めから到達点が見通せるような一本道を歩いていたのでは,本当の意味での実力は身につかないでしょう。況してや,予め誰かが敷いてくれた道を歩いていくようでは,決して真のゴールには到達できません。

 皆さんがSOKENDAIでこれから歩まれる道は,まさに詩人高村光太郎の詠む「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出來る」であるべきと思っています。ゴールに到達した時に,後ろを振り返って初めて自分がどんな道を辿って来たのかを一望できる,きっとそんな道でしょう。その道がどんなに曲りくねっていても,どんなに遠回りしたように見えても,その道程のひとつひとつに意味があり,人とは違う,誰かが敷いたのではない自分だけの道を歩いてきたことが,必ずや皆さんの力量を高めることに繋がると確信しています。「大いに道に迷え!」は,未踏の地に一歩を踏み出される皆さんへの私からのエールだと思ってください。

 最後に,もうひと言。将来,皆さんが自分の来た道を振り返った時に,今,自分がここに居るのは,あの時にあの道を歩いたからだと思えるような,そんな大学院時代を送って欲しいと願っています。大学も,教職員一同も,そのために出来る限り皆さんを支援していく所存です。

 改めて,本日はご入学おめでとうございます。

2024年10月8日
総合研究大学院大学 学長
永田 敬

PAGE TOP