2024.05.15

重力理論はアインシュタインを超えられるか?

SOKENDAI研究派遣プログラム 採択年度: 2023

片山友貴

素粒子原子核

ホルンデスキー理論の作用

スカラー場ϕと計量gで記述される重力の一般的な作用の形です。

 宇宙では重力が支配的な力であり、重力はある程度まで一般相対論でうまく理解できることが知られています。よく知られているように一般相対論は1915年にアインシュタインが生み出した理論体系です。しかし今日では一般相対論だけでは説明できない事象も多く見つかっており、さまざまなアプローチによって説明が試みられています。そのひとつが一般相対論とは異なる重力理論(修正重力理論)を構築するという方法です。
 ここで修正重力理論を構築する上で必要なことが「一般相対性理論で説明できる観測的事実を全て説明できる」、「一般相対性理論で説明できなかった観測的事実を説明できる」ことになります。しかしながらこれらの条件を満たす修正重力理論は無数にあることが問題になります。なぜかというとおそらく重力理論はただひとつの形に記述できると信じられているからです。そのため修正重力理論を「どのように検証するか?」「どの観点で制限をつけるか?」ということが問題になってきます。
 例えばホルンデスキー理論は修正重力理論の中で非常によく知られている理論になります。この理論はいくつかの前提条件はありますが一般性に富んだ理論であり、一般相対論も含んでいます。そのためホルンデスキー理論に対して観測的に制限をかけていくことでより正確な重力理論を理解できると考えられています。しかしながらこの理論には一般性を失わないために2変数の任意関数が4つ含まれていることから、解析は難しいものになっています。そこで我々は修正重力理論を新しい観点から宇宙観測で検証する手法を開発することを目指しています。

派遣先滞在期間

Date of Departure: 2023/11/1
Date of Return: 2024/3/3

国、都市等

日本、岡山

機関名、受入先、会議名等

岡山理科大学

‍派遣中に学んだことや得られたもの

今回の派遣期間中、KEKで専門的に研究されていなかった修正重力理論について、その専門家といつでも議論できる環境に身を置くことができ、研究を非常に推し進めることができました。
さらに出席した研究会で重力理論に関する研究者の方々と交流できたことは得難い機会です。
また計算機によって重力の複雑な計算を実行する方法を紹介してもらい身につけたことは重要な成果であると考えています。

高エネルギー加速器科学研究科 素粒子原子核専攻 片山友貴
宇宙の主成分である暗黒エネルギーの正体や古典重力理論として一般相対性理論は正確であるかに興味があります。

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