2022.01.01
2022年 学長・年頭のご挨拶
みなさま、明けましておめでとうございます。昨年もいろいろとご苦労様でした。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2019年の末ごろから始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、もう2年も続き、なかなかきれいに片付きません。次々と新しいウイルスの株が出てきますが、これは、今後も続くでしょう。何らかの有効な治療薬が出てくるまで、安心はできません。そこで、コロナがあっても何とか通常に仕事を続けられるようにと、オンライン会議などの利用が進展しました。これはこれでよかった事だとは思いますが、やはり、対面で話をし、みんなで場を共有しながら仕事をするのとは、違います。それによって失われているものは、実はかなり多いのではないかと私は危惧しています。
院生のみなさんも、実験や野外観察などの現場に出なければいけない人にとっては、特に大変にやりにくい状況ではないでしょうか。理論や計算だけでも大丈夫という人たちにとっても、みんなで集まってワイワイとディスカッションできないとなると、発想も豊かではなくなるでしょう。そんな中で、何とか論文を仕上げねばならないと考えると、とても焦りが募ると思います。指導教員の先生方と相談しながら、なるべく良い方法を探って研究を続けてください。 感染症のこと、気候変動のこと、世界の政治情勢のこと、経済のこと、世の中には問題が山積みです。これからの世界をどうしていくのが良いのか、そのために何をせねばならないのか、一人一人がよく考える事は大事です。でも、一人の力ではなかなか変革はできません。しかし、一人一人がその気にならなければ変革できないのも事実です。難しい問題ですが、みんなで考え続けていきましょう。
今年はトラ年。トラはアジアに住む大型の食肉目の動物です。いくつもの亜種に分かれていますが、そのほとんどが絶滅危惧種となっています。野生では、もう数百頭しかいないと推定されているものもいます。トラ年の今年、トラたちの絶滅リスクが少しでも減る方向に世の中が変わればと願っていますが、私たち人類の行方にも、暗雲が立ち込めることのないよう、みんなで新風を巻き起こしていきましょう。
総合研究大学院大学 学長
長谷川眞理子