2019 JSPSサマー プログラム
「JSPSサマー・プログラム2019」 オリエンテーションを開催
<期間>2019年6月12日(水)~2019年6月18日(火)
2019年 6 月 12 日から 7 日間、「 2019 年度 JSPS サマー・プログラム」のオリエンテーションを湘南国際村センター(葉山)にて実施しました。各国の学術機関による選抜を経て、英国、フランス、ドイツ、カナダ、スウェーデン及びアメリカ合衆国の 6 カ国から博士課程取得前後の若手外国人研究者(フェロー) 97 名が来日し、それぞれの受入研究機関に向かうまでの 1 週間を葉山にて過ごしました。
6月 12 日(水)
初日の開講式は、日本学術振興会の牛尾理事及び本学の長谷川学長の挨拶で始まり、推薦機関からも多くの関係者が出席されました。また、 2015 年度に JSPS サマー・プログラムに参加し、現在 JSPS 特別研究員として来日している元フェローから、日本で研究生活を始めるにあたってのアドバイスを含むプレゼンテーションが行なわれ、フェロー達も興味深く耳を傾けていました。夜の歓迎レセプションでは、日本での受入教員、本学教員や学生達も歓談に加わり、分野や国籍を超えた交流が活発に行われ盛大な会となりました。
6月 13 日(木)
John BREEN氏(国際日本文化研究センター)による "Emperor-Making in Modern Japan: Abdication, Succession and the Future of the Imperial Line" (近代日本の天皇:退位と皇位継承の問題)と題した特別講義が行なわれました。冒頭にて 2019 年 5 月 1 日に新天皇が即位したことが紹介され、日本の皇室制度、新天皇即位までの経緯、そしてその一連の流れと日本の政治の関係性等について説明があり、熱心に聞き入るフェロー達の姿が印象的でした。
オリエンテーション期間中、計 3 回の日本語授業が、レベル別に 10 クラスに分かれて行なわれました。フェローのうち 7 割が日本語学習初心者でしたが、授業の回数が進むにつれて、挨拶はもちろん、フロントでのやり取りも日本語で行なう姿が見られました。
午後は半日の鎌倉観光で、鶴岡八幡宮と高徳院(鎌倉大仏)へ見学に行きました。その日は晴天に恵まれ、時差ぼけもある中でプログラムが続いたフェロー達は、リラックスした時間を過ごしました。
6月 14 日 ( 金 )
ポスタープレゼンテーションでは、自らの研究と日本における研究計画について、各自が用意したポスターをもと活発な意見交換が行なわれました。
日本文化紹介では茶道、折り紙、着付け、書道等、様々な日本の伝統文化を体験し、その後、ホストファミリーの元へと向かいました。週末は各家庭で、日本食作り、陶芸体験等、心のこもったおもてなしを受け、 16 日(日)には涙ながらにホストファミリーとの別れを惜しむ姿が方々で見られました。
6月 17 日(月)
総研大の長谷川眞理子学長による特別講義 "What is the " cultural difference " ? So-called individualism in Western culture and collectivism in Japanese culture." (「文化の違い」とは何か?いわゆる欧米文化の個人主義と日本文化の集団主義)が行なわれました。フェロー達がこれからまさに直面することになる「文化の違い」について、人の行動と文化の関係、そして欧米文化と日本文化に焦点を当てた時、それが具体的にどのように行動に現れるのか、自身の経験談も交えての講義が行なわれました。講義に引き続き活発な質疑応答が行なわれ、これからの 2 ヶ月間、驚きや疑問を感じた際に、その違和感の裏にある文化背景の違いに目を向けるきっかけとなる内容でした。
午後は、元東京藝術大学教授の安藤政輝先生の特別講義及び邦楽演奏がありました。安藤先生から日本の伝統楽器についての説明に続き、箏、尺八、三味線、十七弦を用いた 6 曲の楽曲の演奏があり、素晴らしい音色を動画に収めるフェローも多く見られました。演奏後のワークショップでは、檀上に用意された箏や三味線、尺八に触れてみたいというフェローが長蛇の列を作り、直に楽器に触れ満喫した様子でした。
葉山で過ごした 1 週間、週末一日を除いては天候に恵まれ、予定通り 6 月 18 日朝に全国各地の受入機関へと旅立っていきました。 2 ヶ月の研究を経て、次は 8 月 20 日 ( 火 ) に報告会を実施します。彼らの今後の活躍を心より祈念いたします。
「JSPSサマー・プログラム2019」 報告会・送別会を開催
2019年8月20日(火)
全国各地の大学・研究機関での2ヶ月間にわたる研究活動を終え、2019年8月20日、東京九段下ホテルグランドパレスにて研究報告会が開催されました。 報告会では、各国の代表者6名が、各自の研究成果について、また本国と日本の研究スタイルの違い、日本での文化交流について報告しました。長谷川眞理子学長、家泰弘日本学術振興会理事からは、「日本での人脈、経験を活かして、それぞれの国で科学外交官として活躍下さい。」との激励がありました。
送別会には、13名の受入研究者、6月のオリエンテーションにて特別講義の講師を務められた箏曲家の安藤政輝先生にご参加頂きました。また、本プログラムの修了生であり、現在はJSPS外国人特別研究員として日本で研究を続けているDr. Lachance-Quirionから日本での研究生活、JSPSの研究助成等に関するプレゼンテーションがあり、終盤にはフェロー達の日本での研究活動の様子、文化体験等の写真が上映され、最後まで名残惜しく語り合いが続きました。