2010 JSPSサマー プログラム
『JSPSサマー・プログラム オリエンテーション』が開催されました
平成22年6月16日(水)、アメリカ合衆国、英国、フランス、ドイツ及びカナダの5か国の博士号取得前後の若手研究者(フェロー)114名が来日し、『JSPSサマー・プログラム』が幕を開けました。当日の朝は小雨が降っていたにもかかわらず、フェローが葉山へ到着した時には真っ青な空と太陽が顔を出し、フェローも長旅の疲れも見せず晴れやかな笑顔になりました。
第1日目、_畑学長の挨拶で始まった開講式。(独)日本学術振興会及び海外協力機関の米国国立科学財団(アメリカ合衆国)、ブリティッシュカウンシル(英国)、フランス国立科学研究センター(フランス)、ドイツ学術交流会(ドイツ)、カナダ大使館(カナダ)の方々も出席されました。夜の歓迎レセプションでは、鮪の頭にカメラを向け日本食を満喫するフェローを見かけたり、受入教員と対面し話に夢中になるフェローがいたり、総研大レクチャーの学生も参加して交流したり、多研究分野・多国籍のフェロー同士の国際交流が活発に始まりました。
第2日目は国立科学博物館馬場悠男先生による「Human Evolution: Process of Adaptations and Dispersals」をテーマにした講演が行われ、人類進化の様々なトピックスの紹介とともに、人類進化研究の最新の情報が紹介されました。とくに、化石の年代推定や、化石人骨の性別や年齢の推定の方法等についてフェローから多数の質問が出、講演後も先生を囲んで意見交換が繰り広げられました。
馬場先生につづいて、総研大伊藤憲二先生には、「Science and Technology in Japan: Historical, Social, and Cultural Perspectives」をテーマに講演いただきました。日本での『科学』や『科学思想』の発展の歴史が紹介され、また近・現代日本社会での『科学啓蒙』や『科学』にたいする認識について、日本文化との関わりの中でどのように発展していったかなどについて講演いただきました。
また、3日間の日本語教育、日本文化紹介(茶道・書道・折り紙)、総研大生も加わったポスターセッションと盛り沢山のオリエンテーションに、フェローは果敢に参加。
週末には、日本人家族宅でホームスティを体験し、日本語の授業で学習したことを実際に使い、翌朝は多くのフェローから「おはよう!」と日本語が飛び交いました。
最終日に行われた東京藝術大学安藤政輝先生の講演及び筝・尺八の邦楽演奏には、フェロー全員のスタンディング・オベーションが起こり、日本の心がフェローの琴線に触れた場面があり、日本と若手外国研究員の学術交流を目的とした本プログラムオリエンテーションの有終の美を飾るのにまさにふさわしいものとなりました。
平成22年6月22日(火)114名のフェローは全国各地の受入機関へ向け旅立ちました。それぞれの機関でこの2ヶ月素晴らしい研究活動を繰り広げられることと思います。
『JSPSサマー・プログラム 報告会・送別会』が開催されました
JSPSサマー・プログラムで、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・カナダ5ヶ国から来日した114名の若手研究者(フェロー)が、全国各地の受入機関での2ヶ月間の研究活動を終え、8月24日、品川に一堂に会しました。報告会では、各国の学術機関から選ばれた6名の代表者による研究発表(北海道に滞在したフェローから海草の研究報告、関西地方から人間工学や生物工学など)が報告され、活発な質疑応答が行われました。
その後、今年度初の試みである修了証書の授与が行われ、フェロー達は日本での研究活動の証に感慨もひとしおの様子でした。
引き続き、受入研究者やオリエンテーションの際お世話になったホームスティ先の家族220名、総研大生も交え、送別会が盛大に行われました。会場では、久しぶりに再会した仲間やホストファミリーと抱き合う姿や思い出を語り合う光景があちらこちらで見られました。本プログラムに携わった総研大スタッフとしては、6月来日時の姿とはうって変わり、この2ヶ月間で大きく成長し、今後の研究に自信をつけたフェロー達を見ることができ、サマー・プログラムの成功と重要性を痛感しました。
今回のサマー・プログラムで本学及び基盤機関に配属されたフェロー達から感想を寄せてもらいました。
Chris NASRALLAHさん(NSF:総合研究大学院大学 先導科学研究科/計算生物学)
「オリエンテーションのプログラムは、とても役に立つものでした。特に、日本の伝統的な音楽に関する講義では、音楽史、楽器の技法に関する詳しい説明と共に、箏や尺八などの実演があり素晴らしいものでした。歓迎レセプションを初め、プログラム全般を通じ食事も大変美味しくいただきました。科学に関する特別講義も興味深かったです。
日本語の授業に関しては、複雑なのですが、具体的に説明すると、総研大生と専門的な議論をする時は英語で、私が日本語で話しかけても返答が英語だったのは、一生懸命日本語を勉強して準備したので、すこしがっかりです。しかしながら、日本を一人で旅行する時には、日本語の授業を受けて良かったと思いますし、何よりも日本の文化を理解する上では役立ちました。」
Kingson MANさん(NSF:生理学研究所/認知神経科学)
「私の滞在した研究所の学生は、とてもフレンドリーで、いつでも私に手を差し伸べてくれたのが、一番印象的です。研究に関しては、設備などの日程調整で研究方法を変更しなければならなかったのですが、幸運にも禅僧が私の研究に協力してくれ、無事成功を収めました。」
Robert PISKOLさん(DAAD:総合研究大学院大学 先導科学研究科/進化生物学)
「日本の研究室は、ドイツにある私の研究室とは雰囲気が異なる印象を受けました。総研大のコミュニティーは、研究生同士の絆がドイツよりも非常に強いです。日本の学生は、研究に対して非常に熱心で、研究室で長時間を費やす一方、大学施設でテニスや卓球をしたり、大学が彼らの家(ホーム)の役割を担っていると感じました。ドイツでは、研究室はあくまでも研究に従事する場所といった感があり、総研大の雰囲気とは異なります。総研大での滞在はとても楽しく、今回友情を深めた友人達に再会できるよう日本に是非戻ってきたいです。」